美しさとは何だろう。
キレイになりたい人は多い。
でも美しさとは何かと訊かれて、即答できる人はどれくらいいるだろうか。
TWIGGY.創設者の松浦美穂さんは、そのうちの一人だ。
美しさとは何かという問いに、唯一無二の正解があるわけでもない。
ただ、訊かれた時にすぐに答えられるということは、ずっと「美」について向き合ってきた証だろう。
松浦美穂さんは美について、どんな考えを持っているのだろうか。TWIGGY.の誕生ストーリーからオリジナルヘアケアブランドへの想い、果ては地球環境のことまで。じっくりお話を伺いました。
1つ質問をすると10分以上は止まらずに語り尽くしてくださった、松浦美穂さんの想いの込もった言葉たちをお届けします。
ロンドンカルチャーと小枝のしなやかな強さの融合
TWIGGY.という名前にはどんな意味が込められているのでしょうか?
最近はTWIGGY.と呼ばれることがほとんどなんですけど、正式には「TWIGGY. your sanctuary」という名前なんですよ。いつの間にか「長いですね」って言われて、your sanctuaryが省かれちゃって(笑)。
まずTWIGGY.に関してだと、ツイッギー(twiggy)という1960年代のスーパーアイコンだったモデルさんがいるんです。わたしはその時代のロンドンカルチャー、『スウィンギング・ロンドン(Swinging London、註1)』が大好きで。とてもポップなファッション、カルチャーに加えて、人々が立ち上がり反骨し、パンク精神を持っていた時代背景に強い影響を受けています。
註1:ファッション、音楽、映画などの若者文化が開花し、ロンドンが活気にあふれていた1960年代のカルチャーのこと。ビートルズやツイッギー、サイケデリック・アートやミニスカートなどが一世を風靡し、ロンドンにとどまらず世界中に影響を与えた文化革命。
ロンドンカルチャーに影響を受けられたんですね。
ツイッギーは60年代に大ヒットして、その後70年代にかけて世界進出したんですよ。その一つが日本でした。特にツイッギーが小枝というチョコレートのCMに出ていたのがとても印象的で。周りのお姉さんたちはずっとツイッギーのことばかり話している、そんな時代でしたね。
当時わたしは7歳ぐらいでしたけど、ツイッギーはずっと気になっていました。後々ロンドンのカルチャーを知ったときに、ツイッギーとつながって。もうそこからですね。恋焦がれて、スウィンギング・ロンドンのメッカを絶対この目で見なきゃと。だからロンドンにいつか行こうというのは小さい頃から決めてました。
実際に行ってみてどうでしたか。
ロンドンで2年ほど過ごして、モデルのツイッギーと公園の小枝が自分の中でピンときてリンクしたんですよね。小枝のような人生、いいなって。大木だと台風でバキッて割れてしまうこともあるのに、小枝って意外に折れない強さがあるでしょ。フレキシブルに風に沿って動くのも気持ちいいし、小枝から木の実や花が咲いて「春だよ」って教えてくれることが好きですね。
小枝のしなやかな強さや、季節を感じる心地よさにひかれてTWIGGY.と名付けたんですね。
TWIGGY.とはエコロジカルでありサステナブルであり、大好きなファッションアイコンであると。ツイッギーが好きというよりは、60年代のロンドンのスウィンギング・ロンドンというカルチャーが好きなんですよね。戦争は起こしたくないし、血も見たくない。精神的にもパンクでいたい。
いつまでもその当時感じたマインドを忘れないでいたいのと、常に吹いてくる風になびかれながらも軸をぶらさず、時代に応じて生きていきたいという両方の意味が含まれています。それで30年前ロンドンから帰国してすぐマンションの一室を借りて、鏡ひとつでTWIGGY.を始めたんですよ。
30年続けられて、振り返ってみていかがですか。
向かい風に向かって歩きたいタイプなんですよね。追い風に乗れるときは小枝のように風に吹かれて乗るけど、向かい風が来たり風が止まったときにも、立ち止まらない自分でいたいんです。
そのためにも、「あのときこうやって切り抜けたよね」という経験を積み重ねていくこと。実際、大好きな、本当に尊敬してやまない母親が亡くなったときでも立っていられたことが事実だから。これまでみんなに支えられて生きてきて、だんだん支え棒がなくなっていっても、「わたしは立てる」っていう自分になるための1年1年だったような気がするんです。それが「your sanctuary」でありたいということでもあります。
ここでyour sanctuaryにつながってくるんですね。
そう。一人ひとりになったって、「ここがあるよ」というみんなにとっての帰ってくる場所。sanctuaryは聖域と訳されますが、鳥が飛び立って夕方になったら戻ってくる木のことでもあるそうで。そんな場所でありたいうという願いを込めて、「TWIGGY. your sanctuary」をつくりました。
嫌なことを断ち切ることで、次のステージにいける
TWIGGY.はサロンについてホームページで、「生を実感しながら、日々意識的に生きる姿は幸せを与える。そのお手伝いをしたい」と語っていますね。
生きてるって感謝じゃないですか。だけど鬱になったり、何だか死にたいと思ったり、泣きたくなったり。少しスピリチュアルな話かもしれませんが、おそらく前世から何かもらってきたんですよ。それはもう今世で1回切ってあげないと。同じ魂が来世別の体に入ってしまったら、その人まで悲しい想いをしてしまうじゃないですか。
髪を切ることって念切りだと思っているんです。髪を切るという行為自体が、今までの古い嫌な念を切る瞬間なんですよ。だから長い髪をショートにするためにハサミを入れるとき、なるべく相手の方に「最近一番嫌だったことを思い出して」って言うの。
本当に嫌だったこと思い出してもらって、「思い出した?OK!」ジャキ!って。それで念が切れるじゃないですか。断ち切ることが次のステージに飛ぶためのきっかけになると本気で思っているんです。その代わり、カット後のヘアスタイルが「ベスト」であるべき!なんですが…わたしたちにとっても緊張の一瞬です。
髪を切ることが念切りであるというのは、とても面白いですね。
髪には念がこもる。だからこそ、TWIGGY.全体をいつも浄化してなきゃいけないと思っていて。デトックスできてないスタッフがいると気になっちゃうんですよね。
何か思い悩んでいると、明らかに顔に出ます。でも悩みの原因って、正直に言うと、長い人生でみると鼻くそみたいなもの。わたしにもあったけど、振り返ってみるとちっちゃいことなんです。
渦中にいるとどうしても悩んでしまいそうですが、松浦さんはどうされているんですか?
わたし自身、中傷されるのは嫌いです。だけど中傷されて、ある意味当たり前。中傷されるってことは目立ったということであり、個性をもった証であると18歳になる娘が教えてくれました。
先日『情熱大陸』のYouTubeにわたしがモデルさんのヘアアレンジをした動画がアップされて、100万回以上の再生数があったんですよ。でもその数字が多いかどうかはよくわからなくて、数字を喜ぶ前にコメント欄を見ちゃったら悪口がいっぱい書かれてね。そんな経験初めてだったから、「やだな」ってつぶやいたの。そしたら娘が、「ママ。ママがいつも言ってたじゃない。そんなのちっちゃいってさ。そんなもの気にするんなら美容師辞めれば?」って言ってきて、だよねーって(笑)。
娘さんもパンクですね(笑)。
わたしも過去に他の美容師のヘアスタイルをみて、「ダサいな」と言ったことあるなと。だからやっぱり、何かちっちゃい穴に入りそうになる瞬間って人間誰しもあるんでしょう。それを浄化していく過程では、自分自身の言葉や行動によってすべて自分に返ってくる。それも正しいなと思って。だから自分で痛い思いをしてほしいですね。
逃げるよりは傷ついた方がいいのでしょうか?
傷つかないような人生を選ぶよりは、傷ついてほしいですね。例えば勧めてくれた人を信じて買ったのに、他の店に行ったら半額だったとか。それも勉強じゃないですけど、それこそ一番いい経験したと思わないとダメだよねって。わたし自身そんな経験何度もありますけど(笑)。それもね、自分の貯金ですね。
美を追求するTWIGGY.が考える美しさ
TWIGGY.が考える、美や美しさってどういうものだと思いますか?
美は健康です。健康であり、地球への配慮ですね。やっぱり美しい心をもつと、美しい姿になっていくじゃないですか。
地球に負担がかからないことへの美しさをまず、本格的な美と考えています。食べること、寝ること、運動すること、これらが美しさの秘訣。そして自分への配慮こそが、人への愛だと思うんです。自分を愛しすぎると、自己愛の中に入っていくんですよ。そうすると「明日すぐに顔を変えたい」とかになっちゃう。
変わらなくていいから、もうちょっと時間かけようよ、と。美は突然の変化より、時間をかけて取得するもの。それは自分にとって優しい決断だと思うので、その決断が配慮できる心を養い、人への愛を育むのではないかと思うんですよ。
美を取得するためには、どうしたらいいと思いますか?
オーガニックのものに触れたり食べたりすることですね。わたしのいう「オーガニック」は無農薬という意味ではなく、「自然と共存」していること。人間と地球が共存してできあがったものです。それこそが、本当の美であると思います。
わたしはモノを指してオーガニックとは言いません。何かが何ml入っているからオーガニックだとか、そうではなく生き方、ビジョンとして捉えています。オーガニックを感じるということ自体が、地球への愛なのかなって。
自然と共存していくことで、時間をかけて手に入っていくと。
そうです。だからTWIGGY.は美容室というよりは、美を追求する場所なんです。追求は死ぬまで衰えないんじゃないかな。むしろもっと研ぎ澄まされていくかも(笑)。 知恵が宿るからね。知識は誰でも本を読めば身につけられるけど、知恵は経験ですから。「持っている知識と同じ経験をしたこと」を知恵と呼ぶらしいんですよ。
年齢を重ねて、いろんな体験や失敗をたくさんしないと知恵は宿っていかない。だからわたしはスタッフやお客様含め、失敗が多い人が大好きですね。「なんかいつも失敗ばかりだね」って言われるくらいが人間臭いというか、すごく愛せますね。
髪にはこれだけで十分。最小限で最高作なYUMEDREAMING
美を追求するTWIGGY.から生まれたオリジナルのヘアケアブランド、YUMEDREAMING(ユメドリーミン)についても教えてください。
YUMEDREAMINGには2つのシリーズがあって、まずホワイトとシルバーのボトルのものがEPICUREAN(エピキュリアン)というシリーズ。先ほどお伝えした「美」に関することは、このEPICUREANという言葉に集約されているんです。
EPICUREANは快楽主義と訳されることが多いんですが、快楽ではなく満足がニュアンスとしては近いと思っていて。哲学者のニーチェがEPICUREANについて、こんなことを書いています。
“エピキュリアン” という言葉だが、その語源となった古代ギリシャの哲学者エピキュロスは、生きて行く上での快楽を追求した。そしてたどりついた頂点が、満足という名の贅沢だった。その贅沢に必要なものは、しかし多くはなかった。すなわち、小さな庭、そこに植わっている数本のイチジクの木、少しばかりのチーズ、三人か四人の友達。これだけで、彼は充分に贅沢に暮らすことができた。(出典:漂泊者とその影, ニーチェ)
つまり、それぞれにとっての快楽があるということなんですよ。そしてTWIGGY.は、一人ひとりの満足に対する応援団長でいたい。それを実現するのが、EPICUREANシリーズです。
満足してもらうために、どんな特徴があるのでしょうか?
美容室だと泡立つシャンプーやツヤツヤになるブローなど、お風呂に入った後のようなスッキリした感じがするじゃないですか。EPICUREANシリーズを通して、そんなそれぞれの満足を感じてくれたらいいなと。
ヘアケアからスタイリングまで全20アイテムあるのですが、いずれもMINIMUMでMAX。これだけあれば、それぞれにあったヘアスタイルが叶います。
例えば、シャンプーとトリートメントには「リッチ」と「ライト」の2種類しか用意していません。リッチはよりツヤが出て、髪はボリュームダウンします。一方、ライトはツヤを出すというよりはフワッと空気を入れたい人向け。
必要最低限の種類だけど、それだけあれば大丈夫だと。
そうです。あとはワックス、ジェル、オイル、ヘアミスト、ムース、グロス&パフュームの6種類を揃えています。ウェーブヘアーであれば一般的にはムースがいいけど、あなたのウェーブの場合はこっちのミストがいいよとか。一人ひとりの毛質によって適切なものをご案内できるようになっています。
EPICUREANシリーズはスキングレードでつくったんですよ。つまり、肌のどこについても大丈夫。手に残ったジェルは爪の先につけたり、手に残ったワックスはそのまま手のひらや甲につけていい。ミストは化粧水の代わりとして顔に使っていいし、オイルは全身に使えます。わたしたちは美容師なので、もちろん髪の毛に絶対的に役に立つものでもあります。
これはオーガニック化粧品のパイオニア的存在で、スキンケアシリーズをつくり続けて47年にもなるネイチャーズウェイの関連会社ハーブラボとコラボしたんです。中でもスキングレードのヘアケア商品はネイチャーズウェイで初めての製品。当時は日本でも初だったのではないでしょうか。最小限のラインナップで、地球環境と人間の体にとてもとても優しくつくった最高作です。
EPICUREANが最小限で最高作だとすると、もう一つの「TWI(ツイ)」シリーズはどんなものになるんでしょうか?
髪の毛って細胞は死んでいて、頭皮は細胞が生きてるんですよ。わかりやすい話、髪切っても血が出ないじゃないですか。でも頭皮にハサミを入れてしまうと血が出てしまいますよね。
だから美容師は髪の毛という、細胞が死んだ部分をどう修復できるかについて最低限考えなくちゃいけない。この課題に向き合うのが、黒いパッケージの「TWI」シリーズ。「スカルプセラム」「ヘアオイルリッチ」の2種類があります。
死んだ細胞を再生させることができるのは、サイエンスの力しかないんです。だからTWIは皮膚科学の研究を行っている会社でつくってもらっています。
TWIは皮膚が弱い方やアレルギーの子どもでも大丈夫ですね。TWIシリーズとして今度ヘアマスクを出すんですけど、あえて水に溶けるポリマー成分を少し入れて、「毛先にだけつけてください」とアナウンスしています。水に溶けるということは、水分解し地球環境には負荷がかからない。皮膚にも残りません。ただ「髪」を考えたら、必要な成分でした。
それはなぜでしょうか?
傷んだ毛先ってデコボコになっていて、そこに菌や黄砂、PM2.5などがくっついてしまった結果、毛先が肌にあたって肌も荒れてしまうんですよ。そのデコボコをなくすために、水溶性のポリマーを使って余計なものが付着しないようにしてあげています。バリア機能としての「マスク」にも近いですね。あくまで自然素材を活かしながら、足りないところを補うためにサイエンス技術を駆使しています。
環境への配慮という点ではどんなことをされていますか。
ボトルや内容成分は生分解性のいいものを使用しています。内容成分は80%以上が生分解性で、ボトルは25〜30%程度。それが今の日本の技術では限界なんだそうです。もちろん100%生分解性でつくりたいんですけど、大手企業からボトル専門店まで可能な限り調べた中では、これがMAX。だから今は地球を汚さないで循環するシステムを検討しているところです。
人間ばかりが進化しすぎると、地球への配慮がおざなりになる
松浦さんは関心テーマに「美容」「健康」の他に「地球環境」をあげられています。地球環境に関してはどんなことを考えられているんでしょうか?
わかりやすいところだと、この水槽。ここにsanctuaryがあるんですよ。TSUBAKIさんというアーティストが作ってくれました。地球に生まれてくるものすべてがここにある。人間が誕生するより遥か前から土があって岩があって、藻や草があって、そして生き物が存在する。自然界の微生物の存在こそが、わたしたち人間のDNAとなっているわけです。
そして生き物は進化を遂げていくけれど、進化しても変わらない姿がきちんとあるじゃないですか。人間もそうあるべきだなって思わせてくれる。人間ばっかりが進化しちゃうと、地球への考えがおざなりになると感じるんです。
人間ばかりが進化というのは、ハッとさせられますね。
便利、早い、なんでもファスト〇〇ってなると、すべて人間のエゴに過ぎなくなるので、常にこれを見て、自戒しています。そうそう、この水槽でヤゴが生まれて、トンボも巣立ったんですよ。TWIGGY.の建物の周りにも木とか花をいっぱい置いてあるから、毎年生命がどんどん生まれてきていて。春先だと玄関にあるジャスミンが咲き始めて、出入りするときにはジャスミンの香りでいっぱいになります。屋上にも畑をつくって野菜や果物を育てているので、季節や生命の循環を感じますね。
自然のリズムと調和している感じが素敵ですね。
循環が一番大事ですよね。ストップするって江戸時代に戻れってことでしょう。江戸時代は最高でしたね。すべてが循環していて、世界的にみてもサステナビリティの優れた参考例だと言われているそうです。日本にはそういういいものがあったんですよね。でもそんなこと言われても、自分たちがその時代を生きてないからよさもわからないでしょう。
当時のもったいない意識を持ちたいけど、江戸のとき何をしていたか直接聞ける人ももういないし。それをモノマネしたところで、空気が変わっているじゃないですか。黄砂やPM2.5が飛んでいたり。そんな中で呼吸しましょうなんて言ったところで、もうくしゅんくしゅんってなって、目がかゆくなっちゃうし。
環境が変わったんだから、昔に戻ろうとするんじゃなくて、知恵をもらって進化するっていう考えを持たないとダメですよ。TWIGGY.ではいつもそのことを意識して、前に進んでいっています。
渋谷区神宮前にあるTWIGGY.の建物外観。ヘアサロンだけでなく、オーガニックカフェやギャラリースペースも併設。屋上には畑や草木など、緑が一面に広がっている。
松浦美穂さんが推し進める、地球に優しい一歩目
最近はサステナビリティについて取り組む人や企業が増えてきていますが、松浦さん自身は今の世の中をどう捉えていますか?
フェミニズムなどのジェンダー問題やBlack Lives Matterなど、人に対する問題が浮上してますよね。もちろん人に対することも大事なんですけど、気になるのは人の心の健康。なぜ人に対する問題が大きくなってきているかと考えたら、責めたい人がいるからだと思うんですよ。じゃあ、「責める」って何だろうって。
自分もそうなんですが、調子悪いと人を責めたくなるじゃないですか。だから鬱を生まないことだと思うんですよ。誰しも躁と鬱の状態があります。その中でも沈まない自分をつくるには、「お天気いいね」「桜が綺麗だね」「ジャスミンの香りが素敵」といったことを感じられるかどうか。もっと言うと、地球が元気じゃなかったら、人間も落ち込んじゃうと思うんですよね。
人の問題も大事です。だけど人と同じぐらい、地球環境を大事に想ってほしい。そのためにも、やっぱり電気についても考えてほしいですね!
電気ですか?
電気を少しでも減らしたり、自然由来のものに変えていくだけで、地球の温暖化度合いが全然変わるんですよ。電力を自然エネルギーにすることは、とても簡単です。TWIGGY.も100%自然エネルギーにしていますけど、スマホでポチポチってするだけなんですよ。
先ほどお話しした水槽にも電気が必要なんです。中に住んでいるメダカが生きるためや、植物の光合成のために。でもこの水槽、外に置けないじゃないですか。TSUBAKIさんたちもスーパーナチュラリストだから、「TWIGGY.さんだったら作ってもいいよ。100%自然エネルギーだからね」って言ってくれたんですよ。
東日本大震災を経験したら、もう原発なんていらないでしょう。広島、長崎、福島ともう原子力で嫌な思いをするのは3回目ですよ。それなのにまだCO2が出ないから原発でいいじゃんって。そうじゃないでしょうと、確固たる気持ちで向かい風に進んでいきたいと思っているので、電気についてはわたしの心からのメッセージですね。
自然エネルギーにして何か変わったことはありますか?
感覚的な話になりますが、電気が自然のものになると放射能を浴びてる気がしなくなるんですよ。石油や石炭が電球から降ってくる感じがしない。それがいいなと思って。自然エネルギーにすることで自分たちが気持ちよければ、それこそEPICUREANじゃないですか。
信念と違うことをやっていると、常に罪悪感がどこかにあってガン細胞できそうで嫌なんですよね。罪悪感があるのに続けてしまうと、身体を壊しそう。やっぱり心身ともに健康でいたいので、美を追求するTWIGGY.としては、地球環境を大事にすることも追求していきたいなと思っています。
INTERVIEW & TEXT BY TOMOHIRO NAKATATE
PHOTOGRAPHS BY MEGUMI SUKO